モデル取引・契約書(多段階契約)とは?
モデル取引・契約書(多段階契約)とは、情報システム開発の各工程を1本の契約でまとめず、工程ごとに内容と契約形態を分けて順に結ぶ考え方。要件が固まっていない上流で完成義務を負わせる無理をなくし、確定した範囲ごとに見積りと責任を明確にできる。
応用情報技術者試験の過去問では7回出題されています(2016年度〜2025年度)。
もでるとりひき・けいやくしょ
モデル取引・契約書(多段階契約)の意味
情報システム開発の各工程を1本の契約でまとめず、工程ごとに内容と契約形態を分けて順に結ぶ考え方。要件が固まっていない上流で完成義務を負わせる無理をなくし、確定した範囲ごとに見積りと責任を明確にできる。
モデル取引・契約書(多段階契約)の具体例
要件定義は準委任、外部設計以降は範囲が確定した段階で請負とし、工程の切れ目ごとに成果物を確認して次工程の契約を結ぶ。要件定義の結果、想定規模が2倍と判明した場合は、次工程の契約前に投資判断をやり直せる。
モデル取引・契約書(多段階契約)は試験でどう引っ掛けられる?
準委任だから成果に責任がない、ではない。善良な管理者の注意義務は負う。また工程を分けても総額が確定するわけではなく、次工程の合意が得られない中断リスクは残る。分割数を増やすほど契約手続の工数も増えるため、細分化すればよいという理解も誤り。工程間の隙間で責任の空白が生じないよう、引き渡す成果物の定義が要る。
モデル取引・契約書(多段階契約)と関連する用語
モデル取引・契約書(多段階契約)が出た過去問
"情報システム・モデル取引・契約書"によれば、要件定義工程を実施する際に、ユーザ企業がベンダと締結する契約の形態について適切なものはどれか。
正解:構築するシステムがどのような機能となるか明確になっていないので準委任契約にした。
要点:要件定義は成果物が未確定なので準委任契約が適する
要件定義工程は、これから作るシステムの機能を利用者と共に固めていく段階なので、着手時点では成果物の内容を具体的に確定できません。そのため、仕事の完成ではなく専門的な役務の提供を約束する準委任契約が適するとされています。仕様の決定権はあくまでユーザ側にあり、ステークホルダとの調整もユーザの責任範囲です。
出典:平成28年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(IPA)“情報システム・モデル取引・契約書”によれば、情報システムの開発において、多段階契約の考え方を採用する目的はどれか。ここで、多段階契約とは、工程ごとに個別契約を…
正解:開発段階において、前工程の遂行の結果、後工程の見積前提条件に変更が生じた場合に、各工程の開始のタイミングで、再度見積りを可能とするため
要点:多段階契約は工程ごとの再見積りを可能にするための仕組み
多段階契約は工程ごとに個別契約を結ぶ方式である。開発では前工程の結果が明らかになって初めて後工程の作業量が精度よく見積もれるため、各工程の開始時点で改めて見積りと合意を行えるようにして、見積りの前提が変わったときの不合理を避けることが目的である。
出典:平成29年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問65(IPA)ベンダX社に対して,表に示すように要件定義フェーズから運用テストフェーズまでを委託したい。X社との契約に当たって,“情報システム・モデル取引・契約書<第一版>”…
正解:a, d
要点:ユーザ主体の要件定義と運用テストは準委任型が適切とされる。
モデル取引・契約書では、成果物を完成させる責任が問える工程は請負型、ユーザ側の主体的な関与が不可欠で成果の完成を約束しにくい工程は準委任型とされる。要件定義はユーザが主体となって要求を固める工程、運用テストはユーザが自ら受入れの観点で確認する工程なので、いずれも準委任型が適切とされる。内部設計やシステム結合はベンダが成果物に責任をもつため請負型となる。
出典:平成30年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(IPA)“情報システム・モデル取引・契約書<第二版>”によれば、ウォーターフォールモデルによるシステム開発において、ユーザ(取得者)とベンダ(供給者)間で請負型の契約が…
正解:システム内部設計フェーズからシステム結合フェーズまで
要点:仕様が確定した内部設計〜結合が請負型に適する
モデル取引・契約書では、要件が固まって成果物を明確に定義できる工程は請負型、要件がまだ流動的でユーザ側の関与が不可欠な工程は準委任型が適切とされています。内部設計から結合までは仕様が確定しベンダが成果物の完成に責任を負えるため、請負契約がなじみます。
出典:令和4年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問66(IPA)ベンダーX社に対して,表に示すように要件定義フェーズから運用テストフェーズまでを委託したい。X社との契約に当たって,"情報システム・モデル取引・契約書<第二版>…
正解:a, d
要点:ユーザー主体の要件定義と運用テストは準委任型が適切
モデル取引・契約書では、成果物の完成に対して責任を負わせにくく、ユーザー側の主体的な関与が不可欠な工程を準委任型としている。要件定義はユーザーが何を作るかを決める工程、運用テストはユーザーが自らの業務で使えるかを確認する工程なので、いずれも準委任型が適切とされる。内部設計からシステム結合までは仕様が固まり成果物を定義できるため請負型が適する。
出典:令和7年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問66(IPA)
最終更新:2026-08-25/解説は資格暗記が独自に作成しています。 過去問の出典は各問題に記載のとおりです。