A社は従業員200名の電子機器メーカーである。東京に本社があり、新潟に工場がある。A社では、ファイルサーバを次のように運用している。・ファイルサーバは本社と工場のサーバルームに設置している。・ファイルサーバは、磁気テープを使用してファイルのバックアップを取得している。・土曜日の午前2時からフルバックアップを取得し、翌週の火曜日と木曜日の午前2時から増分バックアップを取得している。・情報システム部の担当者は毎週月曜日、火曜日、木曜日の朝10時頃、バックアップジョブの実行結果の確認と磁気テープの交換を行い、磁気テープは耐火金庫に保管している。・磁気テープには上書きモードでバックアップを取得し、1か月分の磁気テープを世代管理している。・これまで、フルバックアップからのリストアには平均して4時間、1回の増分バックアップからは平均して0.25時間掛かっている。・A社はICT継続のための試験を実施しており、ファイルサーバも試験対象である。注記:事業影響度分析の結果に基づき、ファイルサーバは、72時間の目標復旧時点(RPO)と120時間の目標復旧時間(RTO)が要求事項として定められている。A社はISMS認証を取得しており、最高情報セキュリティ責任者(CISO)を中心に情報セキュリティに取り組み、定期的に、情報セキュリティリスクアセスメントを行っている。今般、ISMS認証基準がJIS Q 27001:2023に改正されたことを受け、情報セキュリティリーダーのBさんは、新基準への移行審査に向けて準備することになった。改正によって新たに追加された情報セキュリティ管理策「(事業継続のためのICTの備え)事業継続の目的及びICT継続の要求事項に基づいて、ICTの備えを計画し、実施し、維持し、試験しなければならない。」について、Bさんは情報システム部の担当者に取組状況を確認し、評価結果は「実施している」であった。Bさんは、移行審査前の内部監査で、内部監査室から表1の項番1に関するファイルサーバの運用について何点か質問を受け、次のとおり回答した。項番1:例えば、金曜日の正午に障害が発生した場合、少なくとも a1 の時点のデータは復元しなければならない(RPO=72時間の要求事項に基づく)。項番2:例えば、木曜日の正午に障害が発生し、ファイルサーバの全データが消失したとすると、バックアップからのリストアには a2 時間掛かると予想される。項番3:ICT継続の計画書は、 a3 が承認している。表2中のa1〜a3に入れる字句の適切な組合せを、aに関する解答群の中から選べ。
RPOは遡れる時点、復旧時間はフルと増分の合計で見積もる
図1 A社のファイルサーバの運用(バックアップ:土曜日午前2時にフル、火曜日・木曜日午前2時に増分。担当者は月・火・木の朝10時に確認と磁気テープ交換。RPO=72時間、RTO=120時間)
aに関する解答群
| a1 | a2 | a3 | |
|---|---|---|---|
| ア | 月曜日の正午 | 4.25 | CISO |
| イ | 月曜日の正午 | 4.25 | 情報システム部の担当者 |
| ウ | 月曜日の正午 | 4.25 | 内部監査室長 |
| エ | 月曜日の正午 | 4.50 | CISO |
| オ | 月曜日の正午 | 4.50 | 情報システム部の担当者 |
| カ | 火曜日の正午 | 4.25 | 情報システム部の担当者 |
| キ | 火曜日の正午 | 4.25 | 内部監査室長 |
| ク | 火曜日の正午 | 4.50 | CISO |
| ケ | 火曜日の正午 | 4.50 | 情報システム部の担当者 |
| コ | 火曜日の正午 | 4.50 | 内部監査室長 |
選択肢
- アa1=月曜日の正午、a2=4.25、a3=CISO
- イa1=月曜日の正午、a2=4.25、a3=情報システム部の担当者
- ウa1=月曜日の正午、a2=4.25、a3=内部監査室長
- エa1=月曜日の正午、a2=4.50、a3=CISO
- オa1=月曜日の正午、a2=4.50、a3=情報システム部の担当者
- カa1=火曜日の正午、a2=4.25、a3=情報システム部の担当者
- キa1=火曜日の正午、a2=4.25、a3=内部監査室長
- クa1=火曜日の正午、a2=4.50、a3=CISO
- 9a1=火曜日の正午、a2=4.50、a3=情報システム部の担当者
- 10a1=火曜日の正午、a2=4.50、a3=内部監査室長
正解と解説
正解:ク a1=火曜日の正午、a2=4.50、a3=CISO
RPOは、障害時にどこまで過去のデータであれば許容できるかを示す指標です。RPOが72時間なので、金曜日の正午に障害が起きた場合は少なくとも72時間前の火曜日正午時点のデータまで復元できればよいことになります。木曜日正午の障害では、土曜のフルバックアップに火曜と木曜の増分2回を適用するので、4+0.25×2=4.50時間掛かります。またICT継続の計画書は、情報セキュリティを統括する立場であるCISOが承認します。
選択肢ごとの解説
- ア月曜日正午ではRPOの72時間より前に遡っており、復旧時間も増分2回分を数えていません。
- イ起点の取り方と復旧時間がいずれも誤りで、承認者も担当者では権限が不足します。
- ウ内部監査室長は監査する側であり、計画書を承認する立場ではありません。
- エ復旧時間と承認者は妥当ですが、72時間前は月曜日正午ではありません。
- オ起点が誤っているうえ、計画書の承認を担当者が行うのも適切ではありません。
- カ起点は正しいものの、増分は火曜と木曜の2回必要なので4.25では足りず、承認者も不適切です。
- キ復旧時間の計算が増分1回分になっており、承認者も監査側になっています。
- ク正解。RPO72時間前は火曜日正午、復旧は4+0.25×2=4.50時間、承認者はCISOです。
- 9時間の計算までは合っていますが、計画書を担当者が承認するのは統制上不適切です。
- 10内部監査室は監査を行う立場で、計画書の承認者にはなりません。
同じ分野の他の問題
- A社は医療品の販売を行う従業員100名の企業である。営業部では,オンプレミスのデータベースに顧客情報を格納している。営業…2024年度 公開問題 科目A・B 問14
- A社は旅行商品を販売しており,業務の中で顧客情報を取り扱っている。A社が保有する顧客情報は,A社のファイルサーバ1台に保…2023年度 公開問題 科目A・B 問14
- A社は旅行商品を販売しており、業務の中で顧客情報を取り扱っている。A社が保有する顧客情報は、A社のファイルサーバ1台に保…2022年度 公開問題 科目A・B 問54
- メールサーバのディスクに障害が発生して多数の電子メールが消失した。消失した電子メールの復旧を試みたが、2週間ごとに行って…2016年度 秋期 午前 問43
- A社は従業員300名の商社である。総務部が定めたA社の文書管理ルールは次のとおりである。〔文書の機密区分〕極秘:経営に関…2026年度 公開問題 科目A・B 問15
最終更新:2026-08-25/解説・選択肢ごとの解説は資格暗記が独自に作成しています。問題文と選択肢の出典は上記のとおりです。