エンベデッドシステムスペシャリスト試験とは?
エンベデッドシステムスペシャリスト試験(略号ES)は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験です。
IoTを含む組込みシステム(家電・自動車・産業機器など、機器の中に埋め込まれて動くコンピュータシステム)の開発を主導する人材を認定します。ハードウェアとソフトウェアの両方を見渡して最適な機能分担を決め、事業戦略・製品戦略の策定から設計・実装・テスト・保守までを統括する立場が対象で、情報処理技術者試験のなかでは最上位のレベル4(高度試験)に位置づけられています。IPAは「IoT時代に欠かせない組込みシステムの腕利きエンジニア」「組込み・IoT系のフルスタックエンジニアを目指す方に最適」と紹介しています。なお、この試験は2026年度(2027年2〜3月実施の後期)が現行制度での最後の実施になる見込みです(詳しくは「今後の試験制度について」をご覧ください)。
試験の位置づけ
試験の実施概要
| 試験方式 | CBT方式(2026年度から。ESは後期のみの実施で、一定期間内の複数日で行われ、受験者が試験日時・会場を選びます。高度試験では科目A群と科目B群を別日に実施します。申込みは前期・後期それぞれ1回のみで、インターネット申込みのみです) |
|---|---|
| 試験時間・問題数 | 科目A-1:50分・多肢選択式(四肢択一)30問/科目A-2:40分・多肢選択式(四肢択一)25問/科目B-1:90分・記述式2問中1問選択/科目B-2:120分・論述式(小論文)3問中1問選択。科目A-1のあと、および科目B-1のあとに最長10分の休憩があります |
| 合格基準 | 素点方式。科目A-1・科目A-2・科目B-1は100点満点で基準点60点、科目B-2は点数ではなく評価ランクA〜Dで評価され、ランクAだけが合格です。すべての科目が基準点以上で合格となります。多段階選抜方式のため、科目A-1・科目A-2が基準点に達しないと科目B-1・科目B-2は採点されず、科目B-1が基準点に達しないと科目B-2は採点されません(試験の水準維持のため基準点が変更されることがあります) |
| 受験料 | 7,500円(消費税込み) |
| 受験資格 | 年齢・学歴・実務経験による制限は設けられていません。ただし試験要綱に受験資格の規定そのものが無く、公式サイトでも「制限はありません」という明示的な記載は確認できていないため、規定が存在しないことからの推定です |
| 合格率の目安 | おおむね15〜17%(令和5年度秋期16.6%、令和6年度秋期16.9%、令和7年度秋期15.3%)。応募者数は3年連続で減少しており(2,547人→1,949人→1,696人)、高度試験のなかでも受験者数が最も少ない部類です。合格者の平均年齢は36〜37歳と高く、実務経験を積んだ層が受ける試験であることがうかがえます。なお、これらはペーパー方式・秋期時代の数字です |
| 科目A-1の免除制度 | 応用情報技術者試験に合格する/いずれかの高度試験・支援士試験に合格する/いずれかの高度試験・支援士試験の科目A-1試験(令和7年度までは午前Ⅰ試験)で基準点以上を得る、のいずれかを満たすと、その後2年間は科目A-1試験が免除されます。令和8年度後期の免除申請対象者には、令和8年度前期試験の科目A-1通過者も含まれます |
| 2026年度の日程 | 申込受付期間は2027年1月27日(水)〜2月27日(土)、科目A-1・科目A-2の実施期間は2027年2月20日(土)〜3月2日(火)、科目B-1・科目B-2の実施期間は2027年3月16日(火)〜3月28日(日)、合格発表は2027年6月頃の予定です |
| 登録・更新 | 登録制度も更新制もありません。合格がそのまま資格で、有効期限や講習の受講義務は無く、維持コストはかかりません。業務独占・名称独占もありません。ただしこれらは試験要綱・公式ページに規定が見当たらないことからの推定で、「ありません」という明示の一文を確認したわけではありません(IPA試験のうち登録制・更新制があるのは情報処理安全確保支援士だけです) |
取得するとどうなるか
試験要綱では、IoTを含む組込みシステムの事業戦略・製品戦略の策定、ハードウェアとソフトウェアの要求仕様の策定、開発・実装・テストの計画と実施に従事し、次の役割を主導的に果たすとともに下位者を指導することが期待されています。①市場・業界の動向を踏まえた事業戦略・製品戦略の策定と、開発・製造・保守にわたるライフサイクルの統括、②機能要件・技術的要件・環境条件・品質要件の調査分析と機能仕様の決定、③ハードウェアとソフトウェアへの機能分担の検討と最適なシステムアーキテクチャの設計、④汎用モジュールの導入の妥当性・プラットフォームの利用・開発資産の再利用に関する方針策定、⑤機能仕様とリアルタイム性を最適に実現するハード/ソフトのトレードオフに基づく機能分担と設計書・仕様書の作成、⑥適切なソフトウェア開発モデルの選択と各工程の主導、⑦専門分野の知識・開発経験にもとづく技術動向の分析と各工程への反映、⑧開発環境の整備と改善です。 ES合格は「高度試験の合格」として扱われるため、ほかの制度でも優遇があります。弁理士試験では論文式筆記試験の選択科目(理工Ⅴ(情報))が免除され、技術士試験では第一次試験の専門科目(情報工学部門)が免除されます。ITコーディネータ試験では科目が一部免除される「専門スキルコース」を受験でき、資格更新時のポイントにもなります。国家公務員の選考採用・特定任期付職員や、警察庁の一般職技術系職員(サイバー採用・情報処理技術者採用)では高度試験の合格を応募資格とする募集があり、都道府県警でも応募資格や加点に使われます。厚生労働省のものづくりマイスター事業では、高度試験の合格が「ものづくりマイスター(IT職種)」の認定基準の一つになっています。なお中小企業診断士試験でも第1次試験の一部科目が免除されますが、IPAの記載は「応用情報技術者試験又は一部の高度試験の合格者」となっており、ESがその「一部」に含まれるかは確認できていません。 試験制度のなかでも、ESに合格するとほかの高度試験・支援士試験の科目A-1試験がその後2年間免除されます。
この試験の難所(科目B-2の論述式)
ESは、科目A(A-1・A-2)で知識を、科目B-1で記述式を、科目B-2で実務経験にもとづく小論文を問う三段構えの試験です。最後の関門である科目B-2は点数ではなくランクで評価され、「合格水準にある」ランクAだけが合格になります。ランクBは「合格水準まであと一歩」、ランクCは「内容が不十分/問題文の趣旨から逸脱」、ランクDは「内容が著しく不十分/趣旨から著しく逸脱」で、いずれも不合格です。評価の視点は、設問で要求した項目の充足度、論述の具体性、内容の妥当性、論理の一貫性、見識に基づく主張、洞察力・行動力、独創性・先見性、表現力・文章作成能力などです。受験時に示される「解答に当たっての指示」に従わない場合は、論述の内容にかかわらず評価が下がることがあります。 もう一つ注意したいのが科目B-1です。ESは高度試験のなかで唯一、科目B-1の出題数が2問(解答1問)で、ほかの高度試験(ST・SA・PM・SM・AU・NW・DB)はいずれも3問中2問解答です。選べる幅がいちばん狭く、1問でも苦手な問題に当たると逃げ場がありません。 正直にお伝えすると、暗記アプリである本アプリが直接カバーできるのは科目A-1・科目A-2までです。科目B-1・科目B-2は、記述と論述の演習を別途重ねる必要があります。
役立つ職種・年収の目安
評価されやすいのは、組込みソフトウェアエンジニア(ファームウェア開発)、制御系ソフトウェア開発技術者、リアルタイムOS/デバイスドライバ開発、ハードウェア設計(MPU/MCU選定・回路設計・基板設計)、IoT機器の製品企画・アーキテクト、機能安全/高信頼性設計の担当、組込み系のプロジェクトリーダーといった職種です。業界としては自動車(車載ECU・自動運転)、家電・スマート家電、産業機器・FA、医療機器、通信機器、半導体・電子部品、ロボティクスが挙がります。ほかの高度試験(ネットワーク・データベース・システムアーキテクトなど)が情報システム寄りなのに対し、ESだけがハードウェアとソフトウェアの両方を重点分野に持つため、「回路も分かるソフト屋/組込みソフトも分かるハード屋」であることの数少ない公的な裏づけになります。 年収については注意が必要です。「エンベデッドシステムスペシャリスト試験合格者の平均年収」を示す公的統計は見つかっておらず、IPAも合格者の年収を公表していません。以下は近接する職業の公的統計であって、資格保有者の年収そのものではありません。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の「システムエンジニア(組込み、IoT)」によると、令和7年賃金構造基本統計調査を加工した平均年収は578.5万円(平均年齢37.1歳、労働時間159時間/月、就業者数389,760人)です。また同サイトのITSSスキルレベル別給与データ(設計・構築)では、ESが相当するレベル4は500.0〜780.0万円とされています。これらを合わせると目安は年収およそ500〜780万円の幅ですが、あくまで職業やスキルレベルの統計であり、資格を取ればこの金額になるという意味ではありません。資格手当や資格保有者の年収については、統計的な裏づけのある信頼できる出典が見つかりませんでした。 公平のために2点補足します。1つは、job tagの当該職業ページには「関連する資格はありません」と明記されていることです。厚労省の職業情報上、この職業に必要・関連する資格としてESは登録されておらず、「この資格が無いと就けない仕事」ではありません。もう1つは、同職業の有効求人倍率が4.77倍と極めて高く(ハローワーク求人統計・令和6年度)、求人賃金(月額)も34.3万円と前年度比で1.6万円上昇していることです。資格の価値としてではなく職種の需給として見れば、追い風にある領域といえます。
今後の試験制度について
まず、2026年度(令和8年度)から試験方式が大きく変わりました。応用情報技術者試験・高度試験(8区分)・支援士試験は、ペーパー方式からCBT方式へ移行しています。ESの実施時期は秋期(10月)の年1回から後期のみに変わり、科目名も「午前Ⅰ/午前Ⅱ/午後Ⅰ/午後Ⅱ」から「科目A-1/科目A-2/科目B-1/科目B-2」へ変更されました。「午前Ⅰ免除」も「科目A-1試験免除」という名称になっています。一方で、出題形式・出題数・試験時間と、問う知識・技能の範囲に変更はありません。身体の不自由等でCBT方式を受けられない人向けに、筆記による特別措置試験も実施されます。学習にあたっては、午前Ⅰ・午後Ⅱといった古い呼び方の情報と混ぜないよう気をつけてください。 そのうえで、いちばん大切なお知らせがあります。IPAは「2027年度から新試験制度に移行する予定」「現行試験制度については、2026年度の試験実施をもって終了する予定」と公式に明記しています。新試験制度の8区分は、ITパスポート試験/データマネジメント試験(仮称・新設)/情報セキュリティマネジメント試験/基本情報技術者試験/プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(仮称・新設)/同(データ・AI)試験(仮称・新設)/同(システム)試験(仮称・新設)/情報処理安全確保支援士試験で、この8区分に「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」はありません。IPAは見直しのポイントとして「現在の応用情報技術者試験と高度試験を大括り化したうえで内容を再編し、『マネジメント領域』『データ・AI領域』『システム領域』の三つの試験区分を設ける」と説明しています。組込み・IoTの内容は「プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験」(仮称)へ再編される方向とみられ、同試験の科目B出題範囲の改定案には大項目「3 フィジカルコンピューティングに関すること」として、組込み・制御システムのソフトウェア設計(リアルタイム処理など)、同ハードウェア設計(センサー、アクチュエーターの活用など)、要素技術・デバイスの選定・調達・導入が挙がっています。 つまり、「エンベデッドシステムスペシャリスト」という名前で合格できるのは、2026年度(2027年2〜3月実施の後期)が最後の機会になる可能性が高い、ということです。ただし、確認できていないことも正直にお伝えします。「ESが廃止される」「ESがプロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験に統合される」という1対1の対応関係を明示した公式の記述は確認できておらず、上記は「新体系にESの名前が無い」「新試験の出題範囲に組込み・フィジカルコンピューティングが入っている」という2つの事実からの推定です。IPA自身も「公表内容は現時点での検討状況であり、今後、変更が生じる場合があります」と断っており、確定事項ではありません。また、2026年度に取得したES合格が新制度下でどのような扱い(免除・読み替え)になるかの具体も未公表です。なお新制度は全区分CBT方式で、開始時期はITパスポート/情報セキュリティマネジメント/基本情報技術者が2027年度春頃、データマネジメント試験・プロフェッショナルデジタルスキル各試験・支援士試験が2027年度夏頃から秋頃とされています。プロフェッショナルデジタルスキル試験には現行の高度試験と同等の免除制度を設ける方向で検討中で、現行の高度試験・支援士試験で一部科目の免除要件を満たした場合に、一定期間は新試験でも一部科目を免除する経過措置も検討されています。IPAは「2026年度に実施する現行試験や過去の合格情報も新しい学習プラットフォームに登録し、活用することが可能」「2026年度の試験も含め、今後も積極的に受験いただくことを期待」としており、2026年度中の合格が無駄になるとは述べていません。最新情報はIPAの公式ページでご確認ください。
出題範囲と科目
科目A-1(共通知識)
高度試験・支援士試験に共通の科目で、応用情報技術者試験の科目A(午前)と同じ水準・範囲です。テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の全分野から広く出題されます(技術レベル3)。ES固有の内容ではなく、IT全般の基礎知識のふるい落としとして機能します。免除制度の対象はこの科目です。
科目A-2(専門知識)
ESの専門知識を四肢択一で問う科目です。重点分野は「コンピュータ構成要素」「ソフトウェア」「ハードウェア」「セキュリティ」「システム開発技術」の5つで、いずれも技術レベル4(専門家水準)が求められます。システム構成要素、ユーザーインタフェース、ネットワーク、ソフトウェア開発管理技術、システム企画、経営戦略マネジメント、技術戦略マネジメント、ビジネスインダストリはレベル3として出題されます。データベース、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査、法務は出題範囲外です。
科目A-2の重点分野:ソフトウェアとハードウェアの両方
「ソフトウェア」と「ハードウェア」の両方を重点分野(レベル4)にしているのは、13区分のなかでESだけです。OS・ミドルウェア・ファイルシステム・開発ツールといったソフトウェア基盤と、プロセッサ・メモリ・入出力デバイス・論理設計といったハードウェアの両方を、専門家水準で問われます。「コンピュータ構成要素」を重点分野にしているのもESだけで、MPU・MCU・マルチコア・メモリ階層・割込みなどが中核です。ストラテジ系(システム企画・経営戦略・技術戦略・ビジネスインダストリ)が入っているのも特徴で、ESが「製品戦略を立てられる技術者」を求めているため、純粋な技術試験ではありません。なお、ESには科目A-2のシラバス追補版が用意されていないため、細目は出題分野一覧表と応用情報技術者試験シラバスの該当分野をレベル4に読み替えて把握することになります。
科目B① 事業戦略・製品戦略・製品企画・開発・サポート及び保守計画の策定・推進に関すること
事業戦略の策定、ビジネスモデルの策定、経営戦略との整合性評価、事業分析と課題抽出を扱います。IoT・AI・ビッグデータ・メタバース・通信・クラウド・エッジコンピューティング・ヒューマンインタフェース・ストレージ・半導体・計測・制御・プラットフォーム・情報セキュリティなど関連技術の技術動向分析、製品市場動向や社内技術評価を踏まえた製品戦略の策定、知的財産・規格・法令・製品の安全性や環境対策への考慮点の整理、リスク解析との整合性確認、調達方針の策定、要求の確認と調整も範囲です。「作る前に、何を作るかをどう決めるか」を問う経営寄りの領域です。
科目B② 機能要件の分析・機能仕様の決定に関すること
開発システムの機能要件の分析、品質要件の分析、他関連企業が有する技術能力の活用可能性の検討、開発工程設計、コスト設計、性能設計、機能仕様のまとめが範囲です。曖昧な要求を「仕様」という決定可能な形に落としきれるかが問われます。
科目B③ 開発手法の決定・汎用モジュールの利用に関すること
対象とするシステムに応じた開発手法の決定と、汎用モジュールの利用を扱います。モデルベース設計、プロセスモデル設計、オブジェクト指向モデル設計、モジュール化設計、再利用が中心です。組込み開発で定番のモデルベース設計と、開発資産の再利用戦略が問われます。
科目B④ システムアーキテクチャ設計・要求仕様の策定に関すること
ESの中核となる領域です。ハードウェアとソフトウェアのトレードオフ、機能分割設計、システム構成要素への機能分割、装置間インタフェース仕様の決定、ソフトウェア/ハードウェア要求仕様の作成または把握、システムアーキテクチャ設計、進化型アーキテクチャ設計、広域無線通信網の活用、リアルタイム設計(リアルタイムOSの選定を含む)、機能安全設計、高信頼性設計、再利用容易化設計、保守性設計、環境安全設計、情報セキュリティ設計、全体性能の予測、省電力設計、テスト手法の検討、他関連企業との協業可能性の検討、開発環境の設計までが範囲です。
科目B⑤ ソフトウェア設計・実装に関すること
IoTを含む関連技術の適用可能性の吟味とプラットフォームの利用、リアルタイムOSの応用、デバイスドライバの設計、タスク設計、共有資源設計、ソフトウェアの実装が中心です。ソフトウェア要求仕様の吟味、ソフトウェア方式設計、ソフトウェア詳細設計、ソフトウェアコード作成とテスト、ソフトウェア結合テスト、システム確認テスト、構成管理、変更管理も含まれます。
科目B⑥ ハードウェア設計・実装に関すること
ほかの高度試験には無いES固有の領域で、電気・機械の話まで出題範囲に入ります。関連技術の適用可能性の吟味とプラットフォームの利用、既存製品の再利用可能性の検討、ハードウェア要求仕様の分析、MPU・MCU・マルチコアプロセッサの選択、システムLSIの吟味、高位ハードウェア設計言語の活用、ハードウェアアーキテクチャの設計、メモリ階層の設計、周辺デバイス(センサー、アクチュエーターほか)の検討、ハードウェア構成要素の性能評価、有線・無線の通信インタフェースの設計、高信頼化設計、故障解析、ヒューマンインタフェースの検討、システム確認テスト、EMC評価、セキュリティ対策、不具合対策、開発および試験環境の構築、電気・機械まわりの問題検討が範囲です。
科目B⑦ 保守に関すること
IoTを含む関連技術の適用可能性の吟味、ソフトウェア仕様書・ハードウェア設計書にもとづく保守容易化設計、他関連企業が有する技術能力の活用可能性も含めた保守計画の作成、リモートメンテナンス・状態監視保守・定期保守などの保守形態の決定、保守作業の記録と構成管理を扱います。出荷後に手元を離れる組込み機器ならではの、遠隔での保守が論点になります。
よくある質問
Q. エンベデッドシステムスペシャリスト試験に受験資格はありますか?
年齢・学歴・実務経験による制限は設けられていません。ただし試験要綱に受験資格の規定そのものが無く、公式サイトでも「制限はありません」という明示的な記載は確認できていないため、規定が存在しないことからの推定です。受験料は7,500円(消費税込み)、申込みはインターネット申込みのみで、前期・後期それぞれ1回だけ申し込めます。
Q. エンベデッドシステムスペシャリスト試験の難易度はどのくらいですか?
情報処理技術者試験のなかでは最上位のレベル4(高度試験)に位置づけられます。合格率はおおむね15〜17%(令和5年度秋期16.6%、令和6年度秋期16.9%、令和7年度秋期15.3%)で、いずれもペーパー方式・秋期時代の数字です。応募者数は3年連続で減少し(2,547人→1,949人→1,696人)、高度試験のなかでも受験者数が最も少ない部類です。合格者の平均年齢は36〜37歳と高く、実務経験を積んだ層が受ける試験であることがうかがえます。なお科目B-1の出題数が2問(解答1問)なのは高度試験でこの区分だけで、選べる幅がいちばん狭い点も難所です。
Q. エンベデッドシステムスペシャリスト試験はCBT方式ですか?
はい。2026年度からCBT方式へ移行しました。実施は「後期」のみで、一定期間内の複数日に行われ、受験者が試験日時・会場を選びます。科目A群と科目B群は別日に実施されます。科目名は「午前Ⅰ/午前Ⅱ/午後Ⅰ/午後Ⅱ」から「科目A-1/科目A-2/科目B-1/科目B-2」へ変わりましたが、出題形式・出題数・試験時間と、問う知識・技能の範囲に変更はありません。身体の不自由等でCBT方式を受けられない人向けに、筆記による特別措置試験も実施されます。
Q. エンベデッドシステムスペシャリスト試験はいつまで実施されますか?
IPAは「2027年度から新試験制度に移行する予定」「現行試験制度については、2026年度の試験実施をもって終了する予定」と公式に明記しています。新制度の8区分にエンベデッドシステムスペシャリスト試験は無く、2026年度(2027年2〜3月実施の後期)が最後の機会になる可能性が高いといえます。ただし1対1の対応関係を明示した公式の記述は確認できておらず、IPA自身も「公表内容は現時点での検討状況」と断っています。組込み・IoTの内容はプロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験(仮称)へ再編される方向とみられます。
Q. エンベデッドシステムスペシャリスト試験の合格に有効期限はありますか?
ありません。登録制度も更新制も無く、合格がそのまま資格で、講習の受講義務や維持コストはかかりません。ただしこれは試験要綱・公式ページに規定が見当たらないことからの推定です。合格すると、ほかの高度試験・情報処理安全確保支援士試験の科目A-1試験がその後2年間免除されます。弁理士試験の論文式筆記試験の選択科目(理工Ⅴ(情報))、技術士試験の第一次試験の専門科目(情報工学部門)の免除も受けられます。
出典
- IPA エンベデッドシステムスペシャリスト試験
- IPA 試験要綱 Ver.5.6(2026年7月6日掲載)
- IPA エンベデッドシステムスペシャリスト試験(レベル4)シラバス Ver.5.1
- IPA スケジュール、手数料など
- IPA 応用情報技術者試験、高度試験及び支援士試験におけるCBT方式での実施について
- IPA 令和8年度 申込受付期間及び試験実施期間について
- IPA 国家試験等の一部免除、公的制度の応募資格・募集条件など
- IPA 統計情報(応用情報・高度・支援士)
- IPA 試験制度の見直しについて
- IPA 試験の見直しの検討状況について(2026年3月31日公開)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)システムエンジニア(組込み、IoT)
最終更新:2026-08-13/内容は公式の試験要綱・シラバス等に基づいていますが、受験の際は必ず最新の公式情報をご確認ください。