A社は、スマートフォン用ヘルスケア関連アプリケーションソフトウェア(以下、Aアプリという)の開発、販売を行う会社である。Aアプリは、ヘルスケアデータ収集機能によって、利用者の体重や歩数のデータを収集するとともに、アンケート機能によって、勤務先の業種、年収などのデータを収集している。営業部は、保険会社であるB社と共同のビジネスを検討している。その中で、Aアプリで収集したデータ及び今後収集するデータから匿名加工情報を作成した上で、その匿名加工情報をB社に第三者提供することを検討している。B社では、提供を受けた匿名加工情報を分析して、B社の保険商品のマーケティングに活用しようとしている。分析の対象は、年代、性別、年収区分、住んでいる地域区分及び勤務先の業種と体重及び歩数との関係である。ここで、地域区分とは、北海道、東北、南関東などの区分のことをいう。加工対象となる“個人情報データベース等”(以下、加工対象情報という)は、表1の顧客属性データと表2のヘルスケアデータの2種類からなり、利用者番号によって関連付けられている。営業部の情報セキュリティリーダーであるC課長は、加工対象情報に含まれる各情報の項目について、適用する匿名加工情報の作成に係る手法(以下、匿名加工情報の作成に係る手法を匿名加工手法という)を表3にまとめた。C課長は、加工対象情報である表1及び表2に示す各データに対して、表3の匿名加工手法を必要に応じて適用し匿名加工情報を作成する案を用意した。その案を法務部のD課長に報告したところ、D課長からは、想定するマーケティング用途にも有効であり、匿名加工手法の適用も適切であるとの回答を得た。設問:解答群に示した3項目(電子メールアドレス、勤務先の業種、体重)それぞれについて、C課長が適用した匿名加工手法はどれか。表3の手法のうち、適用したものの組合せを、解答群の中から選べ。なお、各項目に対して複数の匿名加工手法を適用しても構わないし、一つも適用せずに“加工なし”としても構わない。

匿名加工は識別子を削除し、分析に要る項目は一般化や丸めで残す

情報セキュリティマネジメント試験2025年度 公開問題 科目A・B15/法務 / 個人情報保護

表1 顧客属性データ(列:利用者番号、氏名、性別、生年月日、電子メールアドレス、住所、勤務先の業種、年収。個人ごとに1行)
利用者番号氏名性別生年月日電子メールアドレス住所勤務先の業種年収
114567情報 一郎1984年4月4日ichiro@●●●.ne.jp愛知県名古屋市中区上前津X-X-X金融業1,850万
114568積招 花子2003年3月31日sekimane@▲▲▲.ne.jp東京都文京区本駒込X-X-X小売業380万
114573試験 五郎1951年12月9日shiken@■■■.ne.jp東京都中央区月島X-X-X製造業630万
表2 ヘルスケアデータ(列:利用者番号、記録日、体重、歩数。記録日ごとに1行)
利用者番号記録日体重歩数
114567202N年02月11日121.35,321
114568202N年02月11日43.533,012
114568202N年02月12日43.012,007
114573202N年02月12日63.07,604
表3 匿名加工手法
項番手法名解説
(一)項目削除加工対象情報に含まれる個人情報の項目を削除すること。例えば、年齢のデータを加工対象情報から削除すること。
(二)一般化加工対象情報に含まれる記述などについて、上位概念に置き換えること。例えば、購買履歴のデータで“きゅうり”を“野菜”に置き換えること。
(三)トップ(ボトム)コーディング加工対象情報に含まれる数値について、特に大きい又は小さい数値をまとめること。例えば、年齢に関するデータで、“98歳”、“115歳”といった数値データを“80歳以上”というデータにまとめること。
(四)丸め加工対象情報に含まれる数値について、四捨五入などして丸めること。例えば、生年月日から“34歳”とされる場合について、“30代”のように年代に置き換えること。
注記 本表は、個人情報保護委員会事務局“仮名加工情報・匿名加工情報 信頼ある個人情報の利活用に向けて−制度編−(第2版)”を基にC課長が作成した。

選択肢

正解と解説

正解: 電子メールアドレス=(一), 勤務先の業種=加工なし, 体重=(三),(四)

匿名加工情報では、特定の個人を識別できる記述を削除する必要があります。電子メールアドレスは個人を直接特定しうるうえ、分析にも使わないため項目削除が適当です。一方、勤務先の業種は分析対象そのものなので加工せず残します。体重は極端な値が個人特定の手掛かりになるためトップ(ボトム)コーディングでまとめ、さらに丸めを施して精度を落とすことで、分析用途を保ちながら識別性を下げられます。

選択肢ごとの解説

出典:令和7年度 公開問題 情報セキュリティマネジメント試験 科目A・B 問15(IPA)

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最終更新:2026-08-25/解説・選択肢ごとの解説は資格暗記が独自に作成しています。問題文と選択肢の出典は上記のとおりです。