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プロジェクトマネージャ試験とは?

プロジェクトマネージャ試験(略号 PM)は、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が実施する情報処理技術者試験の一区分で、「情報処理の促進に関する法律」に基づいて経済産業省が実施する国家試験です。

システム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトの目的の実現に向けて責任をもってプロジェクトマネジメント業務を担う人材を認定します。情報処理技術者試験のうち「高度試験」にあたり、共通キャリア・スキルフレームワークの最上位であるレベル4に位置づけられます。試験時間は合計300分(5時間)で、うち120分が論述式(小論文)という構成が最大の特徴です。

合格率の目安約13〜15%令和5〜7年度秋期(ペーパー方式時代の実績)
受験料7,500円消費税込み
試験時間合計300分うち科目B-2は120分の論述式(小論文)

試験の位置づけ

難易度が高いレベル4レベル3レベル2レベル1高度試験(9区分)・情報処理安全確保支援士この試験応用情報技術者試験(AP)基本情報技術者試験(FE)情報セキュリティマネジメント(SG)ITパスポート(IP)
IPAの共通キャリア・スキルフレームワークに基づくレベル区分。プロジェクトマネージャ試験はレベル4に位置づけられています。

試験の実施概要

運営団体・区分独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験。情報処理技術者試験の高度試験の一区分で、共通キャリア・スキルフレームワークのレベル4(最上位)に相当します
試験方式CBT方式(令和8年度=2026年度から適用)。令和7年度まではペーパー方式でした。身体の不自由等でCBT方式による受験ができない方には、筆記による特別措置試験が実施されます
実施時期後期のみの年1回(令和7年度までは秋期)。科目A群(科目A-1・科目A-2)と科目B群(科目B-1・科目B-2)は別日に実施されます。令和8年度は科目A-1・A-2が2027年2月20日〜3月2日、科目B-1・B-2が2027年3月16日〜3月28日の実施予定です
試験時間・問題数科目A-1(共通知識):50分・多肢選択式(四肢択一)30問(解答30問)/科目A-2(専門知識):40分・多肢選択式(四肢択一)25問(解答25問)/科目B-1:90分・記述式3問出題(2問選択)/科目B-2:120分・論述式(小論文)2問出題(1問選択)。合計300分(5時間)です。科目A-1と科目A-2の間、科目B-1と科目B-2の間には最長10分の休憩が入ります
合格基準科目A-1・科目A-2・科目B-1はいずれも100点満点中60点以上、科目B-2は評価ランクA(合格水準にある)で、すべてを満たしたとき合格です。採点は素点方式。多段階選抜方式のため、科目A-1・科目A-2が基準点に達しない場合は科目B-1・科目B-2が採点されず、科目B-1が基準点に達しない場合は科目B-2が採点されずに不合格となります。試験の水準維持のため基準点が変更されることがあります
受験料7,500円(消費税込み)
受験資格年齢・学歴・実務経験による制限は設けられていません。ただし「制限はありません」と明記した公式の一文は今回の調査では確認できておらず、試験要綱に受験資格の規定が存在しないことからの判断です
申込方法インターネット申込みのみ。申込みは前期・後期それぞれ1回のみで、同一期に複数の試験区分・複数回の申込みはできません。令和8年度後期の申込受付期間は2027年1月27日〜2月27日です
合格率の目安約13〜15%(令和5〜7年度秋期。令和5年度13.5%、令和6年度13.9%、令和7年度14.3%)。IPAの高度試験の中でも低い部類です。ただしこれはペーパー方式・秋期時代の実績です

取得するとどうなるか

プロジェクトマネージャ試験に独占業務はなく、名称独占もありません。この資格が無いとできない業務は法令上定められておらず、登録制度もありません(名称が法律で保護されているのは、同じIPA所管でも登録制の別制度である情報処理安全確保支援士です)。なお「独占業務・名称独占は無い」と明記した公式の一文は今回の調査では見つかっておらず、試験要綱やIPAの試験関連ページにそうした規定が存在しないことからの判断です。 更新は不要で、合格に有効期限はありません。登録手数料や講習費用といった維持コストも発生しません。 IPAが公式に挙げている優遇措置は次のとおりです。①いずれの高度試験・情報処理安全確保支援士試験でも、科目A-1試験(令和7年度試験までの午前Ⅰ試験)が合格後2年間免除されます。高度試験を複数取りに行くときの足がかりになります。②弁理士試験の論文式筆記試験の選択科目(理工Ⅴ(情報))が免除されます。③技術士試験の第一次試験の専門科目(情報工学部門)が免除されます。④ITコーディネータ試験の「専門スキルコース」(試験科目が一部免除される)を受験でき、資格更新時のポイントにもなります。⑤国家公務員の選考採用・特定任期付職員の採用や、警察庁の一般職技術系職員(サイバー採用・情報処理技術者採用)などで、高度試験の合格が応募資格や加点の対象とされることがあります。⑥厚生労働省のものづくりマイスター事業では、高度試験の合格者が「ものづくりマイスター(IT職種)」の認定基準の一つになっています。 なお、中小企業診断士試験の第1次試験の科目免除については、IPAの記載が「応用情報技術者試験又は一部の高度試験の合格者」となっており、プロジェクトマネージャ試験が対象に含まれるかは今回の調査では確認できていません。

役立つ職種・年収の目安

評価される職種としては、プロジェクトマネージャ(PM)、プロジェクトリーダー(PL)、PMO、SIerの案件責任者、社内情報システム部門のシステム導入責任者、ベンダーマネジメント担当などが挙げられます。公共・大企業向けのシステム開発案件では、提案書に体制図とともに要員の資格を記載することが多く、レベル4の国家資格として名前が通ります。上に挙げたとおり、公的機関の採用要件や他の国家試験の科目免除の対象にもなっています。 受験者の年齢層は高めです。令和7年度秋期のプロジェクトマネージャ試験の平均年齢は、受験者40.6歳・合格者37.7歳(応募者40.2歳)で、応用情報技術者試験の受験者29.9歳、データベーススペシャリスト試験の35.6歳と比べて明確に高く、実務経験を積んだ層が受ける試験であることが数字にも表れています。なお受験者より合格者のほうが約3歳若いという傾向が毎年続いています。 年収については、「プロジェクトマネージャ試験の合格者の平均年収」を示す公的統計は見つかりませんでした。IPAも合格者の年収は公表していません。以下は近接する職業の公的統計であり、資格保有者の年収そのものではない点にご注意ください。 厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の職業「プロジェクトマネージャ(IT)」は、平均年収889万円・平均年齢38.3歳(令和7年賃金構造基本統計調査を加工したもの)で、「関連する資格」としてプロジェクトマネージャ試験とPMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)が挙げられています。同ページのITSSスキルレベル別の給与水準では、本試験が相当するレベル4は、〈企画立案・プロジェクト管理〉が650.0〜950.0万円、〈プロジェクトマネージャ〉が675.0〜950.0万円です。まとめると目安はおよそ650〜950万円の幅ですが、これは職業・スキルレベルの統計であって、資格を取ればこの金額になるという意味ではありません。 資格手当や合格者の年収については、統計的な裏づけのある信頼できる出典が見つかりませんでした。

今後の試験制度について

プロジェクトマネージャ試験は、令和8年度(2026年度)からペーパー方式のCBT方式への移行にあわせて、大きく変わりました。実施時期は「秋期」から「後期」(2027年2〜3月の実施)になり、科目名も「午前Ⅰ/午前Ⅱ/午後Ⅰ/午後Ⅱ」から「科目A-1/科目A-2/科目B-1/科目B-2」に変更されています。免除制度の呼び名も「午前Ⅰ免除」から「科目A-1試験免除」になりました。一方で、出題形式・出題数・試験時間、および問う知識・技能の範囲に変更はないとIPAが明言しているため、過去問の形式はそのまま通用します。年1回の実施である点も従来どおりです。 さらに重要な点として、IPAは現行の試験制度について「2026年度の試験実施をもって終了する予定」と明記しています。2027年度(令和9年度)からの新試験制度では、現在の応用情報技術者試験と高度試験を大括り化したうえで内容を再編し、「マネジメント領域」「データ・AI領域」「システム領域」の三つからなる「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」が新設されます。新制度の試験区分一覧(8区分)に「プロジェクトマネージャ試験」は含まれていません。 ただし、現行のどの区分が新しいどの区分に引き継がれるのかを1対1で示した記述は、IPAの公表資料の中には確認できませんでした(「大括り化したうえで内容を再編」としか書かれていません)。新制度では全区分がCBT方式で実施される予定で、現行の高度試験・支援士試験で一部科目の免除要件を満たした場合に一定期間は免除を認める方向で経過措置が検討されています。IPAは「公表内容は現時点での検討状況であり、今後、変更が生じる場合があります」としているため、最新情報は必ずIPAの公表資料でご確認ください。 なお、令和8年度後期試験の合格発表日は、2026年8月13日時点では未公表です(IPAは「決まり次第お知らせします」としています)。参考までに、ペーパー方式最後の回である令和7年度秋期の合格発表日は令和7年12月25日でした。

合格率の推移から読み取れること

直近3年度(令和5〜7年度秋期)の合格率は13.5%・13.9%・14.3%と、おおむね13〜15%で安定しています。同じ令和7年度秋期のデータベーススペシャリスト18.4%、システム監査技術者16.1%、エンベデッドシステムスペシャリスト15.3%、応用情報技術者24.5%と比べると、IPAの高度試験の中でも低い部類です。 応募者数は12,197人(令和5年度)から13,540人(令和7年度)へ3年で微増していますが、令和6年度から令和7年度はほぼ横ばい(+0.4%)です。特徴的なのは受験率で、毎年62〜65%にとどまり、申し込んだ人の3人に1人以上が実際には受験していません。応募者を分母にした合格率は令和7年度で約9.0%になります。新制度累計(平成21年度春期以降)では、応募270,855人・受験169,930人・合格22,898人で合格率13.5%です。 これらはいずれもペーパー方式・秋期時代の実績です。令和8年度からはCBT方式の「後期」となり集計の枠組みが変わるため、今後も同じ水準が続くかは分かりません。

出題範囲と科目

科目A多肢選択式A-1 共通知識IT全般・レベル3稼働率内部統制公開鍵暗号方式A-2 PM(重点)唯一のレベル4分野WBSEVMクリティカルパスアローダイアグラムA-2 関連分野開発・サービス・企画・法務ファンクションポイント法SLA準委任契約RFP科目B記述式・論述式①立ち上げ・計画WBS・見積り・リスク計画プロジェクト憲章WBSCOCOMOデルファイ法②実行・管理変更管理・各種マネジメントEVM変更管理バーンダウンチャートステークホルダ③終結差異分析・検収・教訓検収(成果物の受入れ)プロジェクト終結
科目A-1・A-2は多肢選択式、科目B-1は記述式、科目B-2は120分の論述式(小論文)で、合計300分です。下線つきの用語から解説ページへ移動できます。

科目A-1(共通知識)

高度試験・情報処理安全確保支援士試験に共通の科目で、応用情報技術者試験の科目A(午前)と同じ水準・範囲です。テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の全分野から広く出題されます(技術レベル3)。プロジェクトマネージャ試験に固有の内容ではなく、IT全般の基礎知識のふるい落としとして機能します。応用情報技術者試験や他の高度試験・支援士試験に合格していれば、2年間免除されます。

科目A-2:プロジェクトマネジメント(重点分野・レベル4)

プロジェクトマネージャ試験の中核であり、出題範囲の中で唯一の技術レベル4の分野です。スコープ・スケジュール・コスト・品質・資源・リスク・調達・コミュニケーションといったマネジメント対象の各領域を、計画から実行・管理・終結まで専門家水準の深さで問われます。科目A-2の出題範囲は全部で7つの中分類だけに絞られており、他の高度試験と比べても対象が限定されているのが特徴です。

科目A-2:セキュリティ(重点分野・レベル3)

セキュリティは情報処理技術者試験の全区分で重点分野ですが、プロジェクトマネージャ試験だけは技術レベル3に据え置かれています(他の高度試験はレベル4)。プロジェクト運営上必要な範囲でのセキュリティ知識が問われます。試験要綱の改訂履歴にも「セキュリティ分野を重点分野に変更し、プロジェクトマネージャ試験を除き技術レベルを変更」と記されており、この区分だけ扱いが異なる経緯が読み取れます。

科目A-2:システム開発技術/ソフトウェア開発管理技術(レベル3)

マネジメントの対象である開発作業そのものについての知識です。要件定義から設計・実装・テスト・導入・保守にいたる開発プロセス、見積り手法、構成管理、品質保証などが問われます。開発の中身が分かっていなければ計画も管理もできない、という位置づけの分野です。

科目A-2:サービスマネジメント(レベル3)

開発したシステムを引き渡す先である、運用・保守側の知識です。サービスマネジメントシステム、サービスの運用、可用性・継続性の管理などが問われます。プロジェクトの終わりが運用の始まりであるため、引き渡しを見据えたマネジメントに直結します。

科目A-2:システム企画(レベル3)

個別システム化構想・計画の策定や要件定義など、プロジェクトの上流にあたる領域です。プロジェクトマネージャは個別システム化計画の策定を支援し、それに基づいてプロジェクト計画を作成する役割を担うため、企画段階の知識が土台になります。調達計画・実施(RFI・RFP、提案評価)もこの領域です。

科目A-2:法務(レベル3)

請負・準委任などの契約形態、知的財産権、労働関連法規などが問われます。外部ベンダーとの調達・契約の管理や、プロジェクトメンバーの労務管理に直結する分野で、実務でも判断を誤ると影響が大きい領域です。

科目B:プロジェクトの立ち上げ・計画に関すること

「何を・いつまでに・いくらで・誰と・どんなリスクを見込んで」を決める段階が問われます。プロジェクトの目的と目標、組織の戦略と価値創出、マネジメントプロセスの修整、プロジェクトライフサイクルと制約、個別システム化計画の作成と承認、プロジェクト憲章の作成、ステークホルダの特定、プロジェクトチームの編成、システム開発アプローチの選択、スコープの定義、要求事項と優先度、WBSの作成、活動の定義と順序付け、資源・活動期間・コストの見積り、スケジュールの作成、予算の作成、リスクの特定と評価、品質・調達・コミュニケーションの計画、関連法規・標準などが範囲です。シラバスでは「プロジェクト立ち上げ」5小項目・「プロジェクトの計画」17小項目に細分化されており、計画だけで全42小項目の4割を占めます。

科目B:プロジェクトの実行・管理に関すること

3つの大項目の中で最も範囲が広く、計画からのズレをどう検知し、どう手を打つかが中心になります。プロジェクト作業の指揮とリーダーシップ、ステークホルダのマネジメント、プロジェクトチームの開発とマネジメント、リスク及び不確かさへの対応、品質保証の遂行、供給者の選定、情報の配布、プロジェクト作業の管理、変更の管理と変化への適応、スコープ・資源・スケジュール・コスト・リスク・品質・調達・コミュニケーションの各管理、マネジメントプロセスの改善、機密・契約の管理、内部統制などが範囲です。記述式の科目B-1・論述式の科目B-2ともに、ここからの出題が多くなっています。

科目B:プロジェクトの終結に関すること

プロジェクトの終わらせ方と、次に何を残すかが問われる領域です。プロジェクトフェーズ又はプロジェクトの終結、評価指標と評価手法、完了基準、計画と実績の差異分析、検収結果の評価、契約遵守状況評価、得た教訓の収集、プロジェクト完了報告の取りまとめなどが範囲です。シラバス上の小項目は2つと少ないものの、フェーズの区切りや終了時に計画と実績を分析・評価し、その後のマネジメント改善やほかのプロジェクトに活かすことは、試験要綱が定めるプロジェクトマネージャの5つの役割の一つに数えられています。

よくある質問

Q. プロジェクトマネージャ試験に受験資格はありますか?

年齢・学歴・実務経験による制限は設けられていません。ただし「制限はありません」と明記した公式の一文は確認できておらず、試験要綱に受験資格の規定が存在しないことからの判断です。申込みはインターネット申込みのみで、前期・後期それぞれ1回しか申し込めません。

Q. プロジェクトマネージャ試験の難易度はどのくらいですか?

情報処理技術者試験の高度試験にあたり、共通キャリア・スキルフレームワークの最上位であるレベル4に位置づけられます。合格率は約13〜15%(令和5年度13.5%、令和6年度13.9%、令和7年度14.3%。いずれも秋期)で、同じ令和7年度秋期のデータベーススペシャリスト18.4%、応用情報技術者24.5%と比べても低い部類です。受験者の平均年齢も40.6歳(令和7年度秋期)と高く、実務経験を積んだ層が受ける試験です。

Q. プロジェクトマネージャ試験に小論文はありますか?

あります。科目B-2が120分の論述式(小論文)で、2問出題から1問を選んで解答します。合格には評価ランクA(合格水準にある)が必要です。科目B-1は90分の記述式で、3問出題から2問を選択します。多段階選抜方式のため、科目B-1が基準点に達しない場合は科目B-2が採点されません。試験は科目A-1・A-2とあわせて合計300分です。

Q. プロジェクトマネージャ試験はCBT方式ですか?

はい。令和8年度(2026年度)からCBT方式になりました。実施時期は「秋期」から「後期」(2027年2〜3月の実施)になり、科目名も「午前Ⅰ/午前Ⅱ/午後Ⅰ/午後Ⅱ」から「科目A-1/科目A-2/科目B-1/科目B-2」に変更されています。科目A群と科目B群は別日に実施されます。出題形式・出題数・試験時間、および問う知識・技能の範囲に変更はないとIPAが明言しており、年1回の実施である点も従来どおりです。

Q. プロジェクトマネージャ試験の合格に有効期限はありますか?

ありません。更新は不要で、登録手数料や講習費用といった維持コストも発生しません。さらに合格すると、その後2年間はほかの高度試験・情報処理安全確保支援士試験の科目A-1試験が免除されます。ほかの国家試験でも、弁理士試験の論文式筆記試験の選択科目(理工Ⅴ(情報))と、技術士試験の第一次試験の専門科目(情報工学部門)が免除されます。

出典

最終更新:2026-08-13/内容は公式の試験要綱・シラバス等に基づいていますが、受験の際は必ず最新の公式情報をご確認ください。