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応用情報技術者試験とは?

応用情報技術者試験(略号 AP)は、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が実施する情報処理技術者試験の一区分で、「情報処理の促進に関する法律」に基づいて経済産業省が実施する国家試験です。

ITを活用したサービス・製品・システム・ソフトウェアを作る人に必要な、応用的な知識・技能を問います。共通キャリア・スキルフレームワークのレベル3に相当し、レベル2の基本情報技術者試験(FE)の上位、レベル4の高度試験の下位という位置づけです。経営戦略から設計・開発・運用・監査までIT全般を広く扱うのが特徴で、科目Aは9大分類23中分類のすべてが出題範囲になります。

合格率の目安約23〜26%令和5〜7年度(筆記方式時代の実績)
受験料7,500円消費税込み
試験時間150分×2科目科目A 80問/科目B 11問中5問解答

試験の位置づけ

難易度が高いレベル4レベル3レベル2レベル1高度試験(9区分)・情報処理安全確保支援士応用情報技術者試験(AP)この試験基本情報技術者試験(FE)情報セキュリティマネジメント(SG)ITパスポート(IP)
IPAの共通キャリア・スキルフレームワークに基づくレベル区分。応用情報技術者試験はレベル3に位置づけられています。

試験の実施概要

運営団体・区分独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験。共通キャリア・スキルフレームワークのレベル3に相当します
試験方式CBT方式(令和8年度=2026年度から適用)。身体の不自由等でCBT受験ができない方は、前期・後期それぞれの実施期間内にペーパー方式で受験できます
実施時期前期・後期の年2回。応用情報技術者試験は科目Aと科目Bを別日に実施します。令和8年度は前期が2026年10月〜12月、後期が2027年2月〜3月の実施予定です
試験時間・問題数科目A:150分・多肢選択式(四肢択一)80問(解答80問)/科目B:150分・記述式11問出題(解答5問)。科目Bは問1「情報セキュリティ」が必須解答(20点)で、問2〜11の10問から4問を選択(各20点)します
合格基準科目A・科目Bとも100点満点中60点以上で、両方が基準点以上のとき合格です。採点は素点方式。科目Aが基準点に達しない場合は科目Bを採点せず不合格となります(多段階選抜)。難易差が認められた場合、基準点が変更されることがあります
受験料7,500円(消費税込み)
受験資格年齢・学歴・実務経験・国籍による制限は設けられていません
申込方法インターネット申込み。前期・後期それぞれ申込は1回のみ(複数区分・複数回の申込はできません)。科目Aと科目Bを同時に予約し、会場ごとの予約枠から日時・会場を選びます
合格率の目安約23〜26%(令和5〜7年度の年度合計。令和5年度25.0%、令和6年度26.3%、令和7年度23.4%)。ただしこれは筆記方式・春期/秋期時代の実績です

取得するとどうなるか

応用情報技術者試験に独占業務はなく、名称独占もありません。知識・技能が一定以上の水準であることを認定する試験であり、合格しないとできない業務や、合格者しか名乗れない名称は設けられていません(名称独占があるのは、同じIPA所管でも登録制の別制度である情報処理安全確保支援士です)。なお「独占業務・名称独占は無い」と明記した公式の一文は今回の調査では見つかっておらず、規定が存在しないことからの判断です。 更新は不要で、合格に有効期限はありません。IPAは「試験合格の有効期限もなく、過去の試験合格が無効となることもございません」と説明しています。合格証書は経済産業大臣が発行し、再発行はできませんが、IPAによる合格証明書(有料・英文可)を発行してもらえます。 IPAが公式に挙げている優遇措置は次のとおりです。①高度試験および情報処理安全確保支援士試験の科目A-1(旧・午前Ⅰ)が、合格後2年間免除されます。②中小企業診断士試験の第1次試験科目の一部が免除されます(具体的な科目名は中小企業診断協会の一次資料が未確認のため、ここでは明記していません)。③弁理士試験の論文式筆記試験の選択科目(理工Ⅴ(情報))が免除されます。④ITコーディネータ試験の「専門スキルコース」(試験科目が一部免除される)を受験できます。⑤警察庁・警視庁・道府県警察本部の一般職技術系(サイバー採用)等の応募資格に指定、またはサイバー犯罪捜査官・情報処理区分採用の応募資格/加点対象になります。⑥高等学校教員資格認定試験(情報)の「同等以上の能力を有すると認められる者」の受験資格に該当します。

役立つ職種・年収の目安

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、システムエンジニア(受託開発)、システムエンジニア(Webサービス開発)、システムエンジニア(基盤システム)の3職業で、応用情報技術者試験が「関連する資格」として明記されています。いずれも「入職にあたって特に学歴や資格は必要とされないが、仕事をしながら基本情報技術者試験や応用情報技術者試験を受ける者もいる」という位置づけで、入職要件ではなく就業後の力量証明として扱われています。 年収については、IPA(試験の実施団体)は合格者の年収を公表していません。以下は職種・スキルレベルの公的統計であり、「応用情報技術者試験の合格者の年収」ではない点にご注意ください。 本資格に最も近い指標は、job tagが掲載するスキルレベル別給与データ(厚生労働省が2023年度に実施した委託調査)です。応用情報技術者試験はレベル3の試験にあたるため、ITSSレベル3の行が目安になります。金額は第一四分位〜第三四分位の範囲で、設計・構築が450.0〜700.0万円、ソフトウェア開発スペシャリストが450.0〜695.0万円です。 また職種全体の平均年収(令和7年賃金構造基本統計調査を加工したもの)は、システムエンジニア(受託開発)およびシステムエンジニア(Webサービス開発)が578.5万円(平均年齢37.1歳、令和6年度の有効求人倍率2.57)、システムエンジニア(基盤システム)が889万円(平均年齢38.3歳、同2.28)です。 なお「応用情報技術者試験に合格すると年収が◯◯万円上がる」といった、資格と年収を因果でつなぐ数字については信頼できる出典がありません。上記はいずれも職種・スキルレベルの統計であり、資格の有無で切った統計ではありません。

今後の試験制度について

応用情報技術者試験は、令和8年度(2026年度)からCBT方式・前期/後期の実施に移行しました(試験要綱 Ver.5.6・2026年10月の試験から適用)。令和7年度までは筆記(ペーパー)方式の春期/秋期で、科目名も「午前」「午後」でした。 この移行にあたり、IPAは「知識・技能の範囲、出題形式、出題数、試験時間に変更はない」と明言しています。つまり過去問の形式は令和8年度以降もそのまま通用します。 一方で、このページに載せている合格率は筆記方式・春期/秋期時代の実績であり、CBT方式に変わったあとも同じ水準が続くかは分かりません。令和8年度の具体的な合格発表日は、2026年8月13日時点では未公表です(IPAは「決定次第公表」としています)。

合格率の推移から読み取れること

直近3年度(令和5〜7年度)の合格率は年度合計で23.4〜26.3%、期別に見るとおおむね22〜28%のレンジで推移しています。受験率(受験者数/応募者数)は毎回65〜67%で安定しており、申し込んでも約3人に1人は受験していません。応募者数は増加傾向で、令和5年度の105,571人から令和7年度の125,041人へ、3年で約18%増えています。いずれも筆記方式時代(令和7年度まで)の実績です。

出題範囲と科目

科目A多肢選択式・80問テクノロジ系基礎理論〜開発技術RAID正規化公開鍵暗号方式デジタル署名マネジメント系PM・サービスマネジメントWBSEVMクリティカルパスSLAストラテジ系システム戦略〜企業と法務SWOT分析PPMRFP損益分岐点科目B記述式・5問解答情報セキュリティ問1・必須解答選択(10問から4問)アルゴリズム・DB・NW ほか
科目Aは3分野(9大分類23中分類)から80問、科目Bは記述式で11問出題・5問解答。下線つきの用語から解説ページへ移動できます。

科目A:基礎理論(テクノロジ系)

離散数学(2進数・基数・論理演算)、応用数学(確率・統計・グラフ理論・待ち行列)、情報に関する理論(オートマトン・形式言語・AI・機械学習ディープラーニング)、通信・計測制御の理論を扱います。計算問題の土台になる分野で、暗記より式の意味の理解が問われます。あわせてデータ構造(スタックキュー・リスト・木構造)、整列・探索・再帰などのアルゴリズム、プログラミング作法、プログラム言語(C・Java・Python ほか)とマークアップ言語も範囲で、科目Bの選択問題にも直結します。

科目A:コンピュータシステム(テクノロジ系)

プロセッサの構成・動作原理、割込みRISC/CISC、マルチコア、メモリの記憶階層(キャッシュ・主記憶・補助記憶)、バス、入出力デバイスといったコンピュータ構成要素を扱い、実効アクセス時間などの性能計算が定番です。システム構成要素では、クラスタ・冗長構成などのシステム構成と、稼働率・応答時間・スループットといった評価指標が問われ、信頼性計算が頻出します。ソフトウェア(OSのプロセス管理・記憶管理、ミドルウェア、ファイルシステム、開発ツール、OSS)とハードウェア(論理回路、半導体、機構部品)も範囲で、仮想記憶やページング方式の理解が問われます。

科目A:技術要素(テクノロジ系)

ユーザーインタフェース(UI技術、UX/UIデザイン、画面設計・アクセシビリティ)、情報メディア(符号化・圧縮などのマルチメディア技術とその応用)、データベース(データモデル、正規化DBMS、SQL、トランザクション処理、データベース応用)、ネットワーク(ネットワーク方式、データ通信と制御、TCP/IPなどの通信プロトコル、ネットワーク管理・応用)、セキュリティを含む大分類です。データベースは設計とSQLの両方が問われ、ネットワークはサブネット計算やプロトコルの役割の識別が定番です。セキュリティは23中分類のうち唯一の重点分野で、脅威・攻撃手法、情報セキュリティ管理(リスクアセスメント・ISMS)、セキュリティ技術評価、対策、実装技術(暗号・認証・PKI)まで広く問われ、科目Bでも必須問題になります。

科目A:開発技術(テクノロジ系)

システム開発技術として、要件定義から設計・実装・統合テスト・導入・受入れ支援・保守廃棄まで開発プロセス全体を扱い、同値分割・限界値分析などのテスト技法が頻出します。ソフトウェア開発管理技術では、開発プロセス・手法(アジャイル、ウォーターフォールほか)、知的財産適用管理、開発環境管理、構成管理・変更管理が問われます。

科目A:プロジェクトマネジメント(マネジメント系)

統合・ステークホルダ・スコープ・資源・時間・コスト・リスク・品質・調達・コミュニケーションの10領域を扱います。アローダイアグラムEVMなどの計算問題が定番です。

科目A:サービスマネジメント(マネジメント系)

サービスマネジメントシステム(構成管理SLA管理、変更管理、インシデント管理、問題管理、可用性・継続管理ほか)、サービスの運用、ファシリティマネジメントを扱います。あわせてシステム監査として、監査の計画・実施・報告・フォローアップ、監査証拠監査手続内部統制・ITガバナンスが問われます。

科目A:システム戦略(ストラテジ系)

情報システム戦略、業務プロセス(BPR・BPMほか)、ソリューションビジネス、システム活用促進・評価を扱います。システム企画として、システム化計画、要件定義、調達計画・実施(RFIRFP、提案評価)も範囲です。

科目A:経営戦略(ストラテジ系)

経営戦略マネジメント(SWOT・PPMほかの経営戦略手法、マーケティング、ビジネス戦略と目標・評価(BSCKPI)、経営管理システム(ERPCRMSCM))を扱います。技術戦略マネジメントでは技術開発戦略の立案と技術開発計画(MOT技術のSカーブ、イノベーション)が、ビジネスインダストリではビジネスシステム、エンジニアリングシステム、e-ビジネス、民生機器、産業機器(IoT応用を含む)が問われます。

科目A:企業と法務(ストラテジ系)

企業活動として、経営・組織論、業務分析・データ利活用(QC七つ道具、統計・線形計画法ほか)、会計・財務(財務諸表、原価計算、損益分岐点)を扱います。法務では知的財産権、セキュリティ関連法規、労働関連・取引関連法規、その他の法律・ガイドライン・技術者倫理、標準化関連が問われます。

科目B:記述式(13分野から11問出題・5問解答)

経営戦略、情報戦略、戦略立案・コンサルティングの技法、システムアーキテクチャ、サービスマネジメント、プロジェクトマネジメント、ネットワーク、データベース、組込みシステム開発、情報システム開発、プログラミング、情報セキュリティ、システム監査の13分野から出題されます。問1の「情報セキュリティ」が必須解答で、問2〜11の10問(情報戦略、システムアーキテクチャ、ネットワーク、データベース、組込みシステム開発、情報システム開発、プログラミング(アルゴリズム)、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査)から4問を選んで解答します。各分野とも、科目Aの知識を具体的な事例に当てはめて記述する力が問われます。

よくある質問

Q. 応用情報技術者試験に受験資格はありますか?

ありません。年齢・学歴・実務経験・国籍による制限は設けられておらず、誰でも受験できます。

Q. 応用情報技術者試験の難易度はどのくらいですか?

IPAの共通キャリア・スキルフレームワークのレベル3に相当します。レベル2の基本情報技術者試験(FE)の上位、レベル4の高度試験の下位という位置づけです。合格率は直近3年度(令和5〜7年度)の年度合計で23.4〜26.3%でした(筆記方式・春期/秋期時代の実績)。

Q. 応用情報技術者試験はCBT方式ですか?

はい。令和8年度(2026年度)からCBT方式・前期/後期の年2回実施に移行しました。科目Aと科目Bは別日に実施します。身体の不自由等でCBT受験ができない方は、実施期間内にペーパー方式で受験できます。IPAは移行にあたり「知識・技能の範囲、出題形式、出題数、試験時間に変更はない」と明言しています。

Q. 合格に有効期限はありますか?

ありません。IPAは「試験合格の有効期限もなく、過去の試験合格が無効となることもございません」と説明しており、更新も不要です。また合格後2年間は、高度試験および情報処理安全確保支援士試験の科目A-1(旧・午前Ⅰ)が免除されます。

出典

最終更新:2026-08-13/内容は公式の試験要綱・シラバス等に基づいていますが、受験の際は必ず最新の公式情報をご確認ください。