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情報処理安全確保支援士試験とは?

情報処理安全確保支援士試験(略号SC)は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験です。

サイバーセキュリティの専門知識・技能をもって、企業や組織の安全な情報システムの企画・設計・開発・運用を支援し、セキュリティ対策の調査・分析・評価に基づく指導・助言を行う人材を認定します。2016年10月の「情報処理の促進に関する法律」改正で創設された登録制の国家資格で、情報処理技術者試験の高度試験と同じレベル4に位置づけられています。試験に合格しただけでは名乗れず、登録簿に登録されて初めて「情報処理安全確保支援士(略称:登録セキスペ)」を名乗れる点が、ほかのIPA試験と大きく違います。

合格率の目安約17〜21%令和5〜7年度(ペーパー方式時代の実績)
受験料7,500円情報処理安全確保支援士試験は非課税
試験時間50/40/150分科目A-1/科目A-2/科目B

試験の位置づけ

難易度が高いレベル4レベル3レベル2レベル1高度試験(9区分)・情報処理安全確保支援士この試験応用情報技術者試験(AP)基本情報技術者試験(FE)情報セキュリティマネジメント(SG)ITパスポート(IP)
IPAの共通キャリア・スキルフレームワークに基づくレベル区分。情報処理安全確保支援士試験はレベル4に位置づけられています。

試験の実施概要

試験方式CBT方式(2026年度から。前期・後期の年2回、一定期間内の複数日で実施され、受験者が試験日時・会場を選びます。申込みは前期・後期それぞれ1回のみ)
試験時間・問題数科目A-1:50分・多肢選択式(四肢択一)30問/科目A-2:40分・多肢選択式(四肢択一)25問/科目B:150分・記述式4問中2問選択。支援士試験では科目A群と科目Bを別の実施期間に分けて行います
合格基準素点方式。科目A-1・科目A-2・科目Bとも100点満点で基準点は60点、すべての科目が60点以上で合格です。多段階選抜方式のため、科目A-1・科目A-2が基準点に達しないと科目Bは採点されず不合格になります(試験の水準維持のため基準点が変更されることがあります)
受験料7,500円(情報処理安全確保支援士試験は非課税)
受験資格年齢・学歴・実務経験による制限は設けられていません。ただし試験要綱に受験資格の規定そのものが無く、公式サイトでも「制限はありません」という明示的な記載は確認できていないため、規定が存在しないことからの推定です
合格率の目安おおむね17〜21%(令和5年度20.9%、令和6年度17.0%、令和7年度20.7%)。応募者数は3年連続で増加しています(37,697人→43,597人→49,030人)。なお、これらはペーパー方式時代の年度合計の数字です
科目A-1の免除制度応用情報技術者試験に合格する/いずれかの高度試験・支援士試験に合格する/いずれかの高度試験・支援士試験の科目A-1試験で基準点以上を得る、のいずれかを満たすと、その後2年間は科目A-1試験が免除されます
登録と更新合格後に登録すると「登録セキスペ」を名乗れます。登録日は年2回(4月1日付・10月1日付)、登録免許税9,000円と登録手数料10,700円が必要です。登録は3年ごとの更新制で、オンライン講習を毎年1回(20,000円・非課税)、実践講習または特定講習を3年に1回受ける必要があります

取得するとどうなるか

試験要綱では、次の4領域の業務で主導的な役割を果たし、下位者を指導することが期待されています。①情報セキュリティ方針・諸規程(事業継続計画に関する規程を含む)の策定、リスクアセスメントおよびリスク対応の推進・支援、②システム調達やシステム開発のセキュリティ観点からの推進・支援、③暗号利用・マルウェア対策・脆弱性対応など利用時のセキュリティ対策の適用の推進・支援、④インシデント管理体制の構築とインシデント対応の推進・支援です。 この資格に業務独占はありませんが、名称独占があります。登録簿に登録された人だけが「情報処理安全確保支援士」の名称とロゴマークを名刺・ビジネス文書・論文などに使うことができ、無資格での名称使用には30万円以下の罰金が定められています。登録しなくても試験合格そのものは無効になりませんし、合格に有効期限もありませんが、登録しない限り名称は使えません。 試験制度上のメリットとして、支援士試験に合格すると、ほかの高度試験の科目A-1試験がその後2年間免除されます。上位の高度試験へ進むための足がかりにもなります。

登録セキスペの義務と3年ごとの更新

登録すると、情報処理の促進に関する法律にもとづく義務が生じます。信用失墜行為の禁止(第21条)、秘密保持義務(第22条)、講習受講義務(第23条)の3つです。違反すると登録の取消しや一定期間の名称使用停止となり、登録を取り消されると2年間は再登録できません。秘密保持義務違反には1年以下の懲役または50万円以下の罰金が定められています。 維持コストがかかる点は、合格すれば一生有効なほかのIPA試験との決定的な違いです。登録は直近の登録日または更新日から3年ごとの更新制で、3年間にオンライン講習3回(毎年1回、1回20,000円・非課税)と実践講習または特定講習1回の受講が必要です。受講と更新申請の期限は、いずれも更新期限の60日前までです。期限までに修了しないと、登録セキスペとしての義務違反になります。なお2026年4月から「実務経験者に対する講習制度」が導入され、認定を受けた登録セキスペは実践講習が免除され、オンライン講習のみになります。 登録者数は2026年4月1日時点で26,453名、同日付の新規登録者は1,859名で、その平均年齢は37.9歳でした。

役立つ職種・年収の目安

評価されやすいのは、セキュリティエンジニア、SOC/CSIRT要員、脆弱性診断ペネトレーションテスト担当、デジタルフォレンジック担当、情報セキュリティ監査の技術面支援、社内の情報セキュリティ管理部門、開発におけるセキュリティ設計・実装のレビュー担当といった職種です。 制度上、登録セキスペであること自体が要件や優遇の対象になる場面もあります。経済産業省「情報セキュリティサービス基準」では、脆弱性診断サービス・デジタルフォレンジックサービス・セキュリティ監視/運用サービスの専門性要件として認定されています。2020年2月にはPCI DSS監査人の資格要件にも追加されました。情報セキュリティ監査人資格の取得で優遇制度があるほか、中小企業向けサイバーセキュリティ対策支援者リストに掲載され、相談・マッチングの機会が生まれます。調達要件で登録セキスペの参画が求められる案件もあります。 年収については注意が必要です。「情報処理安全確保支援士の平均年収」を示す公的統計は見つかっておらず、IPAも登録者の年収を公表していません。以下は近接する職業の公的統計であって、資格保有者の年収そのものではありません。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、令和7年賃金構造基本統計調査を加工した平均年収は、セキュリティエキスパート(オペレーション)が609.8万円(平均42.2歳)、同(脆弱性診断)が609.8万円、同(情報セキュリティ監査)が583.3万円(平均41.7歳)です。また同サイトのITSSスキルレベル別給与水準(運用・保守分野)では、支援士試験が相当するレベル4は510.0〜800.0万円とされています。これらを合わせると目安は年収およそ580〜800万円の幅ですが、あくまで職業やスキルレベルの統計であり、資格を取ればこの金額になるという意味ではありません。資格手当や資格保有者の年収については、統計的な裏づけのある信頼できる出典が見つかりませんでした。

今後の試験制度について

2026年度(令和8年度)から、応用情報技術者試験・高度試験(8区分)とこの支援士試験は、ペーパー方式からCBT方式へ移行しました。実施時期は春期(4月)・秋期(10月)の年2回から前期・後期に変わり、科目名も「午前Ⅰ/午前Ⅱ/午後」から「科目A-1/科目A-2/科目B」へ変更されています。「午前Ⅰ免除」も「科目A-1試験免除」という名称になりました。一方で、出題形式・出題数・試験時間と、問う知識・技能の範囲に変更はありません。身体の不自由等でCBT方式を受けられない人向けに、筆記による特別措置試験も実施される予定です。学習にあたっては、午前Ⅰ・午後Ⅰ/午後Ⅱといった古い呼び方の情報と混ぜないよう気をつけてください。 さらに2027年度(令和9年度)からは、経済産業省とIPAが「Society 5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会報告書」(2025年5月公表)を踏まえ、試験区分体系の見直し・出題範囲の変更・出題形式の新設を含む新しい試験制度への移行を予定しています。検討状況(2026年3月31日時点)、サンプル問題(2026年6月22日掲載)、新試験制度のシラバス(2026年6月30日掲載、2026年7月31日更新)が公開されています。ただし、支援士試験が新制度で具体的にどうなるかは、2026-08-13時点では確認できていません。2027年度以降も現在の形式が続くとは限らない点にご注意ください。

出題範囲と科目

科目A多肢選択式A-1 共通知識IT全般・レベル3稼働率正規化内部統制WBSA-2 セキュリティ重点分野・レベル4公開鍵暗号方式デジタル署名多要素認証SQLインジェクションA-2 ネットワーク・法務重点分野・レベル4IPsecVPN不正アクセス禁止法個人情報保護法科目B記述式・2問選択①管理の推進・支援方針策定・リスク対応ISMSリスクアセスメントBCP②開発時の確保企画・設計〜運用の支援セキュアプログラミングファジング脆弱性診断③利用時の対策暗号・監視・アカウントログ管理ランサムウェアシングルサインオン④インシデント管理検知・対応・証拠収集CSIRTインシデント対応デジタルフォレンジックス
科目Aは多肢選択式(科目A-1が30問、科目A-2が25問)、科目Bは記述式4問中2問選択です。下線つきの用語から解説ページへ移動できます。

科目A-1(共通知識)

高度試験・支援士試験に共通の科目で、応用情報技術者試験の科目A(午前)と同じ水準・範囲です。テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の全分野から広く出題されます(技術レベル3)。支援士試験に固有の内容ではなく、IT全般の基礎知識のふるい落としとして機能します。

科目A-2(専門知識)

支援士試験の専門知識を四肢択一で問う科目です。重点分野はセキュリティ・ネットワーク・法務の3つで、いずれも技術レベル4(専門家水準)が求められます。データベース、システム構成要素・コンピュータ構成要素、システム開発技術・ソフトウェア開発管理技術、サービスマネジメント・システム監査はレベル3として出題されます。

科目A-2の重点分野:セキュリティ・ネットワーク・法務

セキュリティでは、情報の機密性・完全性・可用性、脅威・脆弱性・攻撃手口、暗号技術、認証技術、セキュリティ実装技術、セキュリティ管理・評価基準などをレベル4の深さで問います。ネットワークは、プロトコル、ネットワーク方式・機器、通信の制御など、暗号・認証・フィルタリング・ロギングを適用する前提となる知識です。法務は、情報セキュリティ関連法規(刑法、不正アクセス禁止法など)、個人情報保護法知的財産権関連法規、各種ガイドライン・標準化を扱います。

科目B① 情報セキュリティマネジメントの推進又は支援に関すること

情報セキュリティ方針の策定、リスクアセスメント(リスクの特定・分析・評価)、リスク対応、情報セキュリティ諸規程(事業継続計画に関する規程を含む)の策定、情報セキュリティ監査、動向・事例の収集と分析、関係者とのコミュニケーションが範囲です(小項目7つ)。「経営層に対して何を説明し、どう組織を動かすか」という管理側の視点が問われ、ISMS・BCMS、脅威分析(STRIDE、アタックツリー分析)、脅威インテリジェンス(OSINT)などの知識が求められます。

科目B② 情報システムの企画・設計・開発・運用におけるセキュリティ確保の推進又は支援に関すること

企画・要件定義(セキュリティの観点)、製品・サービスのセキュアな導入、アーキテクチャの設計、セキュリティ機能の設計・実装、セキュアプログラミング、セキュリティテスト(ファジング脆弱性診断ペネトレーションテスト)、運用・保守、開発環境のセキュリティ確保が範囲です(小項目8つ)。システム開発のライフサイクル全体にセキュリティをどう埋め込むか(セキュリティバイデザイン、プライバシーバイデザイン)が中心になります。

科目B③ 情報及び情報システムの利用におけるセキュリティ対策の適用の推進又は支援に関すること

暗号利用と鍵管理、マルウェア対策、バックアップ、セキュリティ監視とログの取得・分析、ネットワークおよび機器のセキュリティ管理、脆弱性への対応、物理的セキュリティ管理、アカウント管理およびアクセス管理、人的管理(教育・訓練、内部不正の防止)、サプライチェーンの情報セキュリティ、コンプライアンス管理(個人情報保護法不正競争防止法などの遵守)が範囲です。4つの大項目のなかで最も小項目が多く(11項目)、日常運用の実務が広く問われます。

科目B④ 情報セキュリティインシデント管理の推進又は支援に関すること

インシデント管理体制の構築、情報セキュリティ事象の評価(検知・連絡受付、初動対応、インシデントとするかの判断、対応の優先順位)、インシデントへの対応(原因の特定、復旧、報告・情報発信、再発防止)、証拠の収集および分析(デジタルフォレンジックス)が範囲です(小項目4つ)。事故が起きた後に何をどの順でやるかが問われる領域です。

よくある質問

Q. 情報処理安全確保支援士試験に受験資格はありますか?

年齢・学歴・実務経験による制限は設けられていません。ただし試験要綱に受験資格の規定そのものが無く、公式サイトでも「制限はありません」という明示的な記載は確認できていないため、規定が存在しないことからの推定です。申込みはインターネットからで、前期・後期それぞれ1回のみ申し込めます。

Q. 情報処理安全確保支援士試験の難易度はどのくらいですか?

情報処理技術者試験の高度試験と同じレベル4に位置づけられています。合格率はおおむね17〜21%(令和5年度20.9%、令和6年度17.0%、令和7年度20.7%)で、これはペーパー方式時代の年度合計の数字です。多段階選抜方式のため、科目A-1・科目A-2が基準点に達しないと科目Bは採点されず不合格になります。応募者数は3年連続で増加しています。

Q. 情報処理安全確保支援士試験はCBT方式ですか?

はい。2026年度からCBT方式になりました。前期・後期の年2回、一定期間内の複数日で実施され、受験者が試験日時・会場を選びます。科目A群と科目Bは別の実施期間に分けて行われます。出題形式・出題数・試験時間と、問う知識・技能の範囲に変更はありません。身体の不自由等でCBT方式を受けられない人向けに、筆記による特別措置試験も実施される予定です。

Q. 情報処理安全確保支援士試験に合格すると何になれますか?

試験に合格しただけでは名乗れません。登録簿に登録されて初めて「情報処理安全確保支援士(略称:登録セキスペ)」の名称とロゴマークを名刺やビジネス文書に使えます。登録日は年2回(4月1日付・10月1日付)で、登録免許税9,000円と登録手数料10,700円が必要です。登録は3年ごとの更新制で、オンライン講習を毎年1回(20,000円・非課税)、実践講習または特定講習を3年に1回受けます。無資格での名称使用には30万円以下の罰金が定められています。

Q. 情報処理安全確保支援士試験の合格に有効期限はありますか?

試験合格そのものに有効期限はなく、登録しなくても合格が無効になることはありません。ただし「登録セキスペ」を名乗るには登録と3年ごとの更新が必要で、更新のための講習費用がかかります。また合格すると、その後2年間はほかの高度試験・支援士試験の科目A-1試験が免除されます。応用情報技術者試験の合格などでも同じ免除を受けられます。

出典

最終更新:2026-08-13/内容は公式の試験要綱・シラバス等に基づいていますが、受験の際は必ず最新の公式情報をご確認ください。