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高度試験・午前I(全区分共通)とは?

高度試験・午前Ⅰ(2026年度からの名称は「科目A-1試験〈共通知識〉」)は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する情報処理技術者試験の一部です。

情報処理技術者試験は「情報処理の促進に関する法律」に基づく国家試験で、この科目は高度試験8区分(ITストラテジスト、システムアーキテクト、プロジェクトマネージャ、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、エンベデッドシステムスペシャリスト、ITサービスマネージャ、システム監査技術者)と情報処理安全確保支援士試験に共通して課されます。これ自体は独立した資格ではなく、合格証書も称号も発行されません。基準点以上を取ると「科目A-1通過者番号(旧・午前Ⅰ通過者番号)」が発行され、その後2年間この科目が免除される、いわば「高度試験を受けるための共通の関門」であり「一度突破すれば2年間使えるパス」です。

試験時間50分・30問四肢択一。100点満点中60点が基準点
受験料7,500円高度試験1区分の受験料に含まれます(単独受験は不可)
免除の有効期間2年間申込み時に一部免除申請番号の入力が必要

試験の位置づけ

難易度が高いレベル4レベル3レベル2レベル1高度試験(9区分)・情報処理安全確保支援士この試験応用情報技術者試験(AP)基本情報技術者試験(FE)情報セキュリティマネジメント(SG)ITパスポート(IP)
IPAの共通キャリア・スキルフレームワークに基づくレベル区分。高度試験・午前I(全区分共通)はレベル4に位置づけられています。

試験の実施概要

位置づけ独立した資格ではなく、高度試験8区分と情報処理安全確保支援士試験に共通して課される1科目です。どの区分を受けても出題される30問は同一の「共通問題」です。
試験方式CBT方式(2026年度=令和8年度から。それ以前はペーパー方式)。多肢選択式(四肢択一)です。身体の不自由等によりCBT方式で受験できない方は、各期の実施期間内にペーパー方式で受験できます。
試験時間・問題数50分・30問(解答数30問)。配点は問1〜30が各3.4点で、得点の上限は100点とされています。科目A-1の終了後、科目A-2の開始までに最長10分の休憩を取得できます。
合格基準100点満点で基準点は60点です。高度試験・支援士試験は素点方式で採点され、多段階選抜方式のため、科目A-1・科目A-2が基準点に達しないと科目B-1・科目B-2は採点されずに不合格となります。試験結果に問題の難易差が認められた場合、基準点が変更されることがあります。
受験料受験手数料7,500円(情報処理技術者試験は消費税込み、情報処理安全確保支援士試験は非課税)。科目A-1だけを単独で受験することはできず、単独の手数料もありません。高度試験1区分の受験料に含まれます。
受験資格年齢・学歴・実務経験による制限は設けられていません。ただし試験要綱には「受験資格」の規定自体が存在せず、「制限はありません」という原文を公式サイト上で確認できたわけではありません(規定が無いことからの推定です)。
実施時期(令和8年度)前期は申込受付が2026年10月6日〜10月24日、科目A群の実施が2026年10月17日〜10月27日、科目B群が2026年11月11日〜11月23日。後期は申込受付が2027年1月27日〜2月27日、科目A群が2027年2月20日〜3月2日、科目B群が2027年3月16日〜3月28日です。科目A群と科目B群は別日に実施され、期間内の複数日から会場ごとの予約枠を選んで申し込みます。
免除の有効期間条件を満たしてから2年後の同時期試験まで、何度でも免除を申請できます。おおむね直近4回分(約2年分)の試験が対象になります。
合格率の目安科目A-1(午前Ⅰ)単独の受験者数・通過者数・通過率は公表されていません(IPAの統計は試験区分単位の集計で、科目別の内訳がありません)。参考として、免除ルートの本命である応用情報技術者試験の合格率は令和5年度25.0%・令和6年度26.3%・令和7年度23.4%、この科目が課される高度試験8区分の合計は令和5年度15.6%・令和6年度15.6%・令和7年度16.4%です(高度試験8区分の合計は本調査がIPA推移表の区分別の値を合算して算出したもので、IPAが公表している数字ではありません)。

取得するとどうなるか

科目A-1(午前Ⅰ)を基準点以上で通過すると、合格発表後に「科目A-1通過者番号(旧・午前Ⅰ通過者番号)」が発行されます。これを受験申込み時に入力すると、その後2年間、すべての高度試験・情報処理安全確保支援士試験で科目A-1が免除されます。名称独占・業務独占はなく(そもそも資格ではありません)、合格証書も出ないため履歴書に書ける「資格」にはなりません。更新制もありませんが、有効期間が2年で切れるという点で実質的に期限つきです。 得られる実利は3つあります。第一に、試験当日の負担が減ります。50分・30問が丸ごと無くなり、免除者は科目A-2から始められます。第二に、対策範囲が減ります。科目A-1はIT全分野(9大分類・23中分類)に及ぶため、免除されればその分の時間を専門科目や記述・論述の対策に回せます。第三に、多段階選抜方式の1段目を回避できます。高度試験では科目A-1・科目A-2が基準点に達しないと科目B-1・科目B-2は採点されずに不合格となるため、免除は「専門で勝負する前に基礎で落ちる」リスクをそのまま消します。

免除される3つの条件と、申請しないと免除されない点

試験要綱では、次の(1)〜(3)のいずれかを満たすことで、その後2年間、科目A-1試験の受験を免除するとされています。(1)応用情報技術者試験に合格する。(2)いずれかの高度試験または支援士試験に合格する。(3)いずれかの高度試験または支援士試験の科目A-1試験(令和7年度試験までは午前Ⅰ試験)で基準点以上の成績を得る。(1)と(2)では「合格証書番号」を、(3)では「科目A-1通過者番号(午前Ⅰ通過者番号)」を使います。 注意したいのは、免除が自動ではないことです。IPAは「免除となる条件を満たしていても、『一部免除申請番号』を入力しなければ一部免除になりません」と明記しています。受験申込みの際に、合格証書番号または科目A-1通過者番号を「一部免除申請番号」として自分で入力してください。番号は受験申込みを行った「受験者マイページ」(株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズのウェブサイト)から、合格発表後に確認できます。 もう一点、応用情報技術者試験の科目A試験で基準点以上を取っても通過者番号は発行されません。応用情報の合格者は「合格証書番号」で免除を申請します。つまり「応用情報に合格した」ことが条件であって、「応用情報の午前を通った」ことは条件になりません。 なお、情報処理安全確保支援士試験には科目A-1免除とは別に科目A-2(旧・午前Ⅱ)の免除制度がありますが、これは無関係の別制度です。その適用条件はIPA公式ページ上で確認できなかったため、ここでは触れません。

役立つ職種・年収の目安

この科目単独に対応する職種や年収のデータは存在しません。高度試験・午前Ⅰは資格ではなく1科目であるため、これ単独で評価される職種も、これに対応する年収統計も公表されていません。IPAも民間統計も、この科目単独の待遇データを出していないため、信頼できる出典が無いというのが正確なところです。 職種や収入を検討する場合は、免除の先にある試験区分(応用情報技術者試験、および高度試験の各区分)の情報をご覧ください。この科目の価値は「受験の負担が減る」という一点にあります。

今後の試験制度について

2026年度(令和8年度)から、名称と実施方式が変わりました。ペーパー方式の春期・秋期からCBT方式の前期・後期へ移行し、科目名も「午前Ⅰ」→「科目A-1」、「午前Ⅱ」→「科目A-2」、「午後Ⅰ/Ⅱ」→「科目B-1/B-2」へ変更されています。問う知識の範囲・出題形式・出題数・試験時間に変更はなく、免除制度も「科目A-1試験免除制度」として継続しています。 さらに2027年度(令和9年度)に向けて、経済産業省とIPAが試験区分体系の見直し・出題範囲の変更・出題形式の新設を含む新試験制度への移行を検討しています。検討状況(2026年3月31日時点)、サンプル問題(2026年6月22日掲載)、新試験制度のシラバス(2026年6月30日掲載・7月31日更新)が公開されています。ただし、新制度で科目A-1と免除制度がどうなるかは2026年8月13日時点で確認できていません。免除制度が今後も同じ形で続くとは限らない前提で、受験計画を立ててください。

出題範囲は応用情報技術者試験の科目Aと同一です

試験要綱の「試験区分別出題分野一覧表」では、科目A-1(共通知識)の列と応用情報技術者試験(科目A)の列が、23の中分類すべてについて記号・技術レベルが一致しています。すなわち全分野が出題範囲で技術レベル3、そのうちセキュリティのみが重点分野です。だからこそ「応用情報技術者試験の合格」がそのまま免除条件になっています。 科目A-1専用のシラバスは存在しません。IPAは基本情報・応用情報・高度・支援士の出題範囲を1つの共通の表で定義しており、区分ごとの差は「どの中分類が出題範囲・重点分野か」と「技術レベル」だけです。最新の試験要綱はVer.5.6(2026年7月6日掲載、適用開始は2026年10月の試験から)です。 なお、「なぜこの科目が課されるのか」という趣旨をIPAが明文で説明した文書は確認できていません。高度試験はレベル4の試験ですが、各区分の専門科目はその分野に特化しているため、IT全般の基礎(レベル3=応用情報技術者試験と同水準)が身についているかを専門の前に確認する層として置かれている、というのはあくまで出題範囲表と免除条件からの整理です。また、科目A-1の問題が応用情報技術者試験の科目Aと同一の問題かどうかも公式には確認できていません(IPA公式には「高度試験・支援士試験の区分間で共通問題」とあるのみです)。

出題範囲と科目

科目A-150分・30問テクノロジ系基礎理論〜開発技術RAID正規化公開鍵暗号方式待ち行列理論マネジメント系PM・サービスマネジメントWBSEVMクリティカルパスSLAストラテジ系システム戦略〜企業と法務SWOT分析PPMRFP損益分岐点
50分・30問の四肢択一。出題範囲は応用情報技術者試験の科目Aと同一で、セキュリティのみが重点分野です。下線つきの用語から解説ページへ移動できます。

基礎理論

離散数学(2進数、基数、集合、論理演算)、応用数学(確率・統計、数値解析、グラフ理論、待ち行列理論)、情報に関する理論(符号理論、オートマトン、形式言語、計算量、AI・機械学習ディープラーニングコンパイラ理論)、通信・計測制御に関する理論が問われます。計算問題として出る比重が高い領域です。

アルゴリズムとプログラミング

データ構造(スタックキューリスト配列木構造2分木)と、アルゴリズム(整列、併合、探索、再帰、文字列処理、自然言語処理流れ図)が中心です。プログラミング、プログラム言語、マークアップ言語も範囲に含まれます。

コンピュータ構成要素

プロセッサ(構成・動作原理、割込み、性能、RISCとCISC、マルチコア)、メモリ(記憶階層、キャッシュ、アクセス方式)、バス、入出力デバイスが問われます。計算機の内部がどう動いているかを理解しているかが問われる分野です。

システム構成要素・ソフトウェア・ハードウェア

システム構成と性能・信頼性設計、OS、ミドルウェアファイルシステム、開発ツール、半導体・回路などが範囲です。システム全体をどう組み立て、どう性能と信頼性を確保するかを問います。

データベース・ネットワーク

データベースではデータモデル、正規化SQL、トランザクション処理が問われます。ネットワークではプロトコル、ネットワーク方式・機器、通信の制御が範囲です。実務でも頻出の中核分野です。

セキュリティ(重点分野)

科目A-1で唯一の重点分野です。情報の機密性・完全性・可用性、多層防御、脅威、マルウェア・不正プログラム、脆弱性、不正のメカニズム、攻撃者の種類・動機、サイバー攻撃(SQLインジェクションクロスサイトスクリプティングDoS攻撃、フィッシングパスワードリスト攻撃標的型攻撃、AIを悪用した攻撃ほか)、暗号技術(共通鍵・公開鍵・秘密鍵)、認証技術、セキュリティ実装技術、セキュリティ管理・評価基準まで幅広く問われます。

ユーザーインタフェース・情報メディア

画面や帳票の設計といったユーザーインタフェース、および音声・静止画・動画などの情報メディアの扱いが範囲です。技術要素分野の一部として出題されます。

開発技術

システム開発技術(要件定義、設計、テスト、レビュー)と、ソフトウェア開発管理技術(開発モデル、アジャイル、共通フレーム)が問われます。開発の進め方そのものを体系として理解しているかを問う分野です。

プロジェクトマネジメント

PMBOK系の知識エリアに沿って、プロジェクトの計画・実行・監視をどう管理するかが問われます。マネジメント系3分野の1つです。

サービスマネジメント・システム監査

サービスマネジメントではITIL系の考え方、SLA、運用が範囲です。システム監査では監査計画・実施・報告、内部統制が問われます。

システム戦略・システム企画

情報システム戦略、業務プロセス、ソリューション、システム化計画要件定義調達計画・実施が範囲です。ストラテジ系の入口にあたる分野です。

経営戦略

経営戦略手法、マーケティング、ビジネス戦略と目標・評価、技術開発戦略、ビジネスシステム、e-ビジネス、エンジニアリングシステムが問われます。技術者にも経営の視点を求める分野です。

企業と法務

経営・組織論、OR・IE、会計・財務に加え、知的財産権、セキュリティ関連法規、労働関連・取引関連法規、標準化関連(JIS、ISO、IEEE)が範囲です。法令と標準の知識が直接問われます。

よくある質問

Q. 高度試験・午前Ⅰ(科目A-1)は独立した資格ですか?

いいえ。高度試験8区分と情報処理安全確保支援士試験に共通して課される1科目であり、合格証書も称号も発行されません。どの区分を受けても出題される30問は同一の「共通問題」です。基準点以上を取ると「科目A-1通過者番号(旧・午前Ⅰ通過者番号)」が発行され、その後2年間この科目が免除されます。

Q. 科目A-1(午前Ⅰ)の免除を受ける条件は何ですか?

試験要綱では次の3つのいずれかを満たすこととされています。(1)応用情報技術者試験に合格する。(2)いずれかの高度試験または支援士試験に合格する。(3)いずれかの高度試験または支援士試験の科目A-1試験で基準点以上の成績を得る。ただし免除は自動ではありません。受験申込みの際に、合格証書番号または科目A-1通過者番号を「一部免除申請番号」として自分で入力しないと免除になりません。

Q. 科目A-1(午前Ⅰ)の出題範囲はどこまでですか?

応用情報技術者試験の科目Aと同一です。試験要綱の「試験区分別出題分野一覧表」では、23の中分類すべてについて記号・技術レベルが一致しています。全分野が出題範囲で技術レベル3、そのうちセキュリティのみが重点分野です。科目A-1専用のシラバスは存在しません。

Q. 科目A-1(午前Ⅰ)はCBT方式ですか?

はい。2026年度(令和8年度)からCBT方式になりました(それ以前はペーパー方式)。あわせて科目名も「午前Ⅰ」から「科目A-1」へ変更されましたが、問う知識の範囲・出題形式・出題数・試験時間に変更はありません。身体の不自由等によりCBT方式で受験できない方は、各期の実施期間内にペーパー方式で受験できます。

出典

最終更新:2026-08-13/内容は公式の試験要綱・シラバス等に基づいていますが、受験の際は必ず最新の公式情報をご確認ください。